これだけ押さえておけば大丈夫!最小限のインボイス制度の対応ポイント

【こしだ会計事務所 ブログ 作成日:

 

Fear always springs from ignorance. – Ralph Waldo Emerson

恐怖は常に無知から生じる ― ラルフ・ワルド・エマーソン

 

 

こんにちわ。もやもや悩み会計士の「こしだ」です。
インボイス制度がはじまる2023年10月まであと半年ほどになりました。

 

そこで、下記のような方にフィットする情報をお伝えします。

・インボイス制度が何なのかはなんとなく知っている。

・インボイス番号の登録も済ませた。

・でも、具体的にどう対応したら良いのかいまいちピンと来ていない。

 

このブログを読んだ後は、対応すべきことがスッキリ明確になり、税務調査が来ても大丈夫な状態にもっていけますよ!

 

 

 

 

消費税の仕組みについてちょっとモヤモヤしているあなたは下記でスッキリしてください。
超わかりやすい!右手と左手を使って、税務署に支払う消費税の計算を理解

 

 

1.仕入や経費などの支払いにかかる消費税(仮払消費税)について

 

 

まずは、あなたやあなたの会社が支払った仕入や経費についてのお話をしていきます。

 

*あなたやあなたの会社が消費税の簡易課税を選択している場合は、こちらのセクションを読んで頂く必要はありません。

 

 

(1)支払先がインボイス事業者か否かの確認が必要

 

・端的に言うと、
支払先からの請求書や領収書にインボイス番号が記載されていることの確認が必要。

 

・支払先が非インボイス事業者ならば(=不課税取引ならば)、仮払消費税(売上時に預かった消費税から差し引ける支払済みの消費税)が発生しない。

 

・具体的な作業としては、もし非インボイス事業者への支払いがあれば、会計帳簿上は、フラグを立てておく必要あり。

 

・非インボイス事業者への支払いを、間違って課税取引にしてしまうと、税務調査の時にその消費税分を追加で納税しなければならない可能性あり。

 

・ただし、当初3年間は8%、さらに3年間は5%は仮払消費税相当として処理できる経過措置あり。

 

・請求書が発送されない支払先(地代家賃の支払先など)があれば、覚書などでインボイス番号を明示しておくべきことが一般的には言われている。

 

・士業やデザイナー、一人親方などの売上=粗利益の事業者は、年間売上が1千万以下の可能性があるため、事前に確認し、非インボイス事業者ならば値段の交渉が必要。

 

 

(2)下記の取引はインボイス不要

 

 

・3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

1回の取引の税込価額が3万円未満かどうかで判定。

したがって、1商品(切符1枚)ごとの金額や、月まとめ等の金額で判定することにはならない。詳細な例は、次のセクション(3)でご説明します。

 

 

・3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等

 

 

(3)税込1万円未満の取引はインボイス事業者か否かの確認不要

 

 

・対象事業者
前々年の税抜売上高が1億円以下or前年の上半期の売上高が5千万円以下の事業者のみ

 

・2029年9月までの6年間の経過措置

注) 月まとめ請求書のように複数の取引をまとめた単位により判定することとはならない。

 

例:

① 5,000円の商品をXX月3日に購入、7,000円の商品をXX月10日に購入し、それぞれで請求・精算 ⇒ それぞれ1万円未満の取引となり、本経過措置の対象

 

② 5,000円の商品と7,000円の商品(合計額12,000円)を同時に購入 ⇒ 1万円以上の取引となり、本経過措置の対象外

 

③ 1回8,000円のクリーニングをXX月2日に1回、XX月15日に1回行い、それぞれで請求・精算 ⇒ それぞれ1万円未満の取引となり、本経過措置の対象

 

④ 月額100,000円の清掃業務(稼働日数:12日) ⇒ 1万円以上の取引となり、本経過措置の対象外

 

 

 

2.顧客に発行するインボイスについて

 

 

今度は、あなた、もしくはあなたの会社がお客さんに発行するインボイスについてのお話です。

 

 

(1)発行するインボイスの記載事項

 

 

下記の項目をすべて記載する必要があります。

重大な漏れなどがあると客さんが税務調査で困るかもしれないというリスクがあります。

 

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

 

・あなたの会社の名前

・インボイス番号

 

のことです。

 

② 課税資産の譲渡等を行った年月日

 

販売やサービスをした日のことです。

 

③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)

 

販売したモノやサービスの内容のことです。

 

④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適
用税率

 

10% or 8%の税率ごとの合計金額のことです。

 

⑤ 税率ごとに区分した消費税額等

 

上記④についての消費税額のことです。

 

⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 

お客さんの名前のことです。

 

 

■請求書の記載例

 

請求書
(株)○○御中 XX 年 11 月 30 日 ←⑥ お客さんの氏名or名称
11 月分 131,200 円(税込)
日付  品名   金額
11/1 小麦粉 ※ 5,400 円 ←②日付 ③内容
11/1 牛肉 ※ 10,800 円
11/2 キッチンペーパー 2,200 円

合計 131,200 円
10%対象 88,000 円 (消費税 8,000 円) ←④率ごとの合計金額 ⑤それぞれの消費税の合計金額
8%対象 43,200 円 (消費税 3,200 円) ←④同上
※ 軽減税率対象品目

△△商事(株)
登録番号 T1234567890123←①発行者(あなたの会社)の氏名or名称 and インボイス番号

 

 

(2)顧客に対して返品や値引をする場合

 

・返還インボイスの発行が必要

 

・要件は通常のインボイスと同様

 

・通常のインボイスに返還項目を併記しても良い。ただし、それぞれの金額の合計など明示して、相殺しないこと。

 

お客さんに対して返品や値引き、割り戻しなどをする場合には、すなわちマイナスの売上的な取引をする場合には、「返還インボイス」と呼ばれる売上マイナス取引のインボイスを発行する必要があります。