An investment in knowledge always pays the best interest. – Benjamin Franklin
知識への投資は、いつも最高の利益をもたらす - ベンジャミン・フランクリン
こんにちは。モヤモヤお悩み会計士の「こしだ」です。
いよいよインボイス制度が始める2023年10月まで半年くらいになりました。
そんな中で、あなたはこのようなことで悩んでいませんか?
・インボイス制度とはいったい何なの?
・何から準備したら良いの?
そんなあたなは是非にこのブログを読んで、インボイス制度についてシンプルに理解して、
税務調査が来ても大丈夫な状態にしておいてください。
注)あなたの会社が簡易課税を選んでいる場合は、インボイス制度の開始後も支払った消費税に関しては従来通りの扱いとなるので、5.(2)、6.(2)以外はあなたの会社には当てはまりません。
1.インボイス制度のインパクト:非インボイス事業者に今まで通り支払うと損をするかも
税務署に消費税を払っている会社や個人事業主(課税事業者)は、2023年10月以降、インボイス制度が始まった後は、
仕事をお願いしている外注先や仕入先が消費税を払っていない小さなビジネス(免税事業者)の場合は、今まで通りの同じ金額の報酬や代金を支払うと、消費税分だけ損をする可能性があります。
これが課税事業者にとってのインボイス制度の最大のインパクトです。
ただし、インボイス制度によるインパクトが一気に出ないように、インパクトを和らげるための「経過措置」という激変を緩和させる方法が取られています。
➡これについては後ほど説明します。
それでは、これから詳しく説明していきます。
2.インボイスとは
インボイスとは、「【決められたこと】が書かれた請求書」のことを言います。
【決められたこと】とは、
・請求する会社や個人事業主などの番号(インボイス登録番号) ➡後ほど説明します
・消費税の金額(8%10%のそれぞれの税率ごとに)
になります。
3.インボイス制度とは=税務署に支払う消費税を計算する新しいルール
インボイス制度とは、この「決められたことが書かれた請求書」をベースとして、ビジネスをしている会社や個人事業主が税務署に支払う消費税の計算をする、というルールのことです。
消費税の計算の仕方についてはこちらをどうぞ!
超わかりやすい!右手と左手を使って、税務署に支払う消費税の計算を理解
4.インボイス制度が始まるとどうなるか
外注先や仕入先に支払っている消費税は、今までならばお客さんからもらった消費税から差し引くことができました。そして、差し引き後の金額を税務署に支払っていました。
しかし、インボイス制度が始まると、税務署に消費税を払っていない規模が小さい外注先や仕入先(免税事業者)に外注費などを支払った場合は、その支払いに含まれる消費税を今までのようにお客さんから預かった消費税から差し引けなくなります。
ただし、このような免税事業者がインボイス事業者になることを自ら選んだ場合には、今までと同じように預かった消費税から差し引けます。
つまり、免税事業者=非インボイス事業者とは限らないということです。
5.課税事業者がインボイス制度が始まる前にしないといけないこと(~2023年9月)
(1)あなたの外注先や仕入先がインボイス登録事業者か否かについての確認
まずは、あなたの外注先や仕入先が、税務署に消費税を支払っている(=1年間の売上高が1千万円を超える)課税事業者であるかどうかを確認する必要があります。
合わせて、もし1年間の売上が1千万円を超えていない場合(免税事業者)であるならば、
今後、インボイス制度が始まった時にインボイス登録事業者になるつもりがあるのか否かも確認する必要があります。
通常、卸売業や小売業などの物販の販売業は課税事業者である可能性が高いです。モノの販売を行っているので、売上高自体はそれなりの金額になるケースが多いからです。
一方で、
課税事業者でない可能性の高い事業者は、物販などの販売がなく個人の知識やノウハウ自体が主なサービスとなっている下記のような個人事業主などです。
・一人親方
・デザイナー
・コンサルタント
・その他のフリーランス
そのような外注先などには、課税事業者であるのかどうかを事前に個別に確認されることをお勧めします。
なぜなら、もし外注先などが免税事業者ならば、インボイス制度が始まった後の値段について事前に話し合いをしておいた方が、後々もめなくて済むからです。
例えば、今まであなたが外注先に10万円とプラス消費税1万円を支払っていたとします。インボイス制度が始まった2023年10月以降、その外注先から同じように合計11万円の請求書が来たら、あなたはどう思いますか?
数字の上では、あなたは確実に1万円損をします。税務署に支払う消費税からその1万円を差し引けなくなるからです。
ならば、あなたはこう言いたくなる可能性が高いと思います。
「消費税分1万円は払わなくて良いよね?」
でも、外注先などはそれをすんなりと呑み難いケースも多いと思います。
税込ベースで値決めをしているケースも多いからです。
ですので、インボイス制度が始まる前に話し合いをしておくのが良いと私は思います。
その際には、インボイス制度の急激なショックを緩めるための「経過措置」を考慮に入れるのも一つです。
■経過措置
税務署への税金の支払の計算をする時に、税務署に消費税を支払っていない免税事業者への支払についてもインボイス制度が始まった後の最初の3年間は8%、その後の3年間は5%を、お客さんから預かった消費税から差し引けるというものです。
一つの例としては、今の値段よりも5%程度の値上げで交渉がまとまるケースなどが多いかもしれません。10%の半分を両者で痛み分けというケースです。
また、「経過措置」に合わせて、最初の3年は2%の値上げ、4年からは5%の値上げ、なども一つのケースかもしれません。
(2)2023年9月までにインボイス発行事業者の登録をする(インボイス事業者番号を取る)
すでにお伝えした通り、インボイスにはインボイス発行事業者の登録番号が書かれていなければなりません。
「わたしは税務署に消費税を払っています。ですから、あなたが消費税の計算をする時には、わたしへの支払に含まれる消費税は、売上に含まれる消費税から差し引けます。」
という事を、登録することによって顧客に言えるようになります。
そのためのインボイス事業者としての登録を2023年9月までにする必要があります。
■インボイス事業者番号
そして、登録することによって「インボイス事業者番号」が割り当てられます。
この番号が無ければ、あなたに支払をしてくれた事業者であるお客さんが消費税を自分で負担しなければならないことになるので、この番号を取ることがとても重要になります。
そして、お客さんはあなたからの請求書にこの番号と消費税の金額が書かれていることを確認することによって消費税の計算を正しくできるようになります。
6.課税事業者がインボイス制度が始まった後にすべきこと(2023年10月~)
(1)外注先や仕入先に支払った消費税の経理の処理について
今までは、消費税を含めた支払った額の合計から逆算して消費税の計算をしていたと思います。
しかし、インボイス制度が始まった後は、支払についての請求書や領収書をひとつひとつ見て、支払先が消費税を税務署に支払っている会社であるのか(課税事業者)そうでないのかをチェックする必要があります。
①外注先などがインボイス登録している場合
今まで通りの処理、つまり消費税を含めて支払った金額を会計ソフトに入力して、消費税の区分を「課税仕入10%」などとすれば問題ありません。
②外注先などがインボイス登録していない場合
このような先への支払いについて会計ソフトに入力する際には、今までのように「課税仕入10%」などではなく、消費税を税務署に支払っていない先への支払であることを示す「免税仕入」などの消費税の課税区分での入力が必要になります。
ちなみに、教科書的に言うならば(税法上は)、100円のお菓子の支払など少額なものについても全てレシートや請求書を確認して、支払先が税務署に消費税を支払っているかどうかを確認する必要があります。
しかし、実際にそのようにすべての支払について確認することは、とくに小規模なビジネスでは難しいと思います。
例えば、1万円以上の支払については請求書やレシートを確認する、などの対応もあり得るのではないでしょうか。
*2029年9月までの6年間の経過措置ですが、小規模な事業者は1万円未満の取引については、インボイスで確認する必要がありません。詳しくは、こちらをご覧ください。
これだけ押さえておけば大丈夫!最小限のインボイス制度の対応ポイント
(2)お客さんに発行するインボイスについて
お客さんに対して発行するインボイスについても、新たな対応が必要です。
でも大した手間ではありません。
詳しくは、こちらのブログをご覧ください。
これだけ押さえておけば大丈夫!最小限のインボイス制度の対応ポイント